日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
セッションID: 2A1-I4
会議情報

発表
数学教育と理科教育との関係についての一考察(3)
―「0.00%」の解釈に着目して―
久保 良宏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本稿は,数学教育における「批判的思考」の検討をもとに,身のまわりにある数値の捉え方や解釈について,数学教育と理科教育の視点から検討するものである。「ノンアルコールビール」のアルコール分の表記では,飲料メーカーによって「ゼロ」,「0%」,「0.00%」といった工夫が見られるが,消費者の解釈は様々である。「0.00%」に着目すると,化学や薬学などの研究者の解釈は,測定器具の測定限界からの捉え方がなされるようである。これは,原発問題における放射能や放射線量などの数値の解釈にも関係しており,数値が深刻なものか,あるいは,自然界に存在するレベルのものかといった考え方にもつながるようである。そしてこれは,情報を精査して判断するという「批判的思考」にも関係している。このような科学的な見方は,数学教育においても重要であると捉えられよう。

著者関連情報
© 2016 日本科学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top