主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第40回年会 大分大会
開催日: 2016/08/19 - 2016/08/21
本稿は,数学教育における「批判的思考」の検討をもとに,身のまわりにある数値の捉え方や解釈について,数学教育と理科教育の視点から検討するものである。「ノンアルコールビール」のアルコール分の表記では,飲料メーカーによって「ゼロ」,「0%」,「0.00%」といった工夫が見られるが,消費者の解釈は様々である。「0.00%」に着目すると,化学や薬学などの研究者の解釈は,測定器具の測定限界からの捉え方がなされるようである。これは,原発問題における放射能や放射線量などの数値の解釈にも関係しており,数値が深刻なものか,あるいは,自然界に存在するレベルのものかといった考え方にもつながるようである。そしてこれは,情報を精査して判断するという「批判的思考」にも関係している。このような科学的な見方は,数学教育においても重要であると捉えられよう。