本研究の目的は,H.フロイデンタールの数学教授論を支える科学観を明らかにすることである。そのために,彼の諸著作を手がかりとした。フロイデンタールは,科学を,技術や哲学と区別され門戸が開かれ現実と関連し一貫した態度でなされる人間活動と認識していた。彼の教授論における「数学化」の活動の重視の背景には,科学をこのような人間活動とみる科学観がある。また彼は,科学の萌芽は哲学に支えられた技術の実践によりもたらされると認識し,数学教育の科学の要請に,教授原理「追発明」を実現するための教授学的現象学を手がかりとした技術の実践によって応えようとしていた。