中学校数学科の補助教材における統計の分析

抄録

　本研究の目的は，平成29年告示の学習指導要領における中学校数学科の補助教材（令和元・2年度用）に掲載されている統計の記述について分析を行い，今後の指導のあり方について示唆を得ることである．そのために，中1の累積度数と中2の四分位範囲及び箱ひげ図に着目して，指導内容と批判的思考の扱いについて分析を行った．その結果，指導内容については，累積度数・累積相対度数のグラフの有無，四分位範囲及び箱ひげ図の単元の指導内容と順序などに違いがみられた．批判的思考については，中2の四分位範囲及び箱ひげ図において分析(Analysis)と(Conclusions)の相に批判的思考に関する問題があり，箱ひげ図を読み取る際の典型的な誤りを指摘させる問題や，箱ひげ図から求めた結論を再度見直す問いなどがあった．