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小川 正賢
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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現代の「科学教育研究」は「科学を教える・学ぶ」「有能な教師を育てる」といった基本的課題に関する研究を超えて,新しい課題や社会的要請に対応する研究の必要性が増している.本発表では,「科学教育の文化研究」という研究運動に長年関わってきた自分自身の経験を振り返りながら,「科学教育研究」でそのような課題や要請に対応する研究で必要となる研究戦略や研究の方向性について考察と提案を行う.
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坂本 美紀
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本シンポジウムの最終的な目標は,持続可能な開発目標(SDGs)の目標4と5「ジェンダーの平等を実現し」「すべての人に質の高い教育を」の実現を,科学教育で目指すことにある.今回は,初等中等の科学教育ならびにその提供者となる科学教員養成に焦点を当て,社会的な要因に力点をおき,当該領域に見られる男女差の実態とそのメカニズムについて,3名の研究者から研究知見をお話しいただく.当該領域におけるジェンダー平等に向け,ボトムアップでどのような工夫が可能かを議論するための契機となることを期待する.
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森永 康子
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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STEM分野における女性研究者や女性学生はなぜ少ないのかについて,ジェンダー・ステレオタイプ(GST)に関する社会心理学的研究を取り上げて,1) GSTが他者評価に影響を与え,女性が低く評価される可能性,2) ST脅威の現象に見られるように,GSTが自己成就予言として働く可能性,3) 潜在的STの影響,4) 表面的にポジティブに聞こえる場合でも,GSTがネガティブな結果をもたらしうること,の4点から説明を試みる.これらの研究をもとに科学教育にどのような示唆ができるかを考えてみたい.
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井上 敦
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿の目的は, 親の数学のジェンダーステレオタイプと娘の自然科学専攻の関係を定量的に明らかにすることである. 2018年3月に実施したアンケート結果を用いて分析したところ, 「女性は男性に比べて数学的能力が低い」という質問に肯定的な回答をした母親の娘に比べて, 否定的な回答をした母親の娘は自然科学専攻の確率が高く, 統計的に意味のある差が確認された. さらに, 自然科学のなかでも特に高度な数学の専門性が要求される理工系専攻において, その傾向が強いことも確認された. 一方で, 父親の数学のジェンダーステレオタイプと娘の自然科学専攻の間には, 統計的に意味のある関係はみられなかった. これらの結果を踏まえて, 数学のジェンダーステレオタイプに関する母親のロールモデル効果の存在を指摘し, 求められる支援策を議論した.
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稲田 結美
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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理科学習における男女差の実態と男女差の要因に関する近年の先行研究を概観し,理科教育におけるジェンダーに関わる問題が,現在も克服されていないことを明らかにした.そして,女子の理科学習と理工系への進路選択の促進に向けたこれまでの方策を踏まえ,今後求められる解決方法の視点として,①ジェンダーの観点による教師教育・教員養成を推進すること,②理科教育におけるジェンダーに関わる潜在的カリキュラムを発見し,是正すること,③学校理科教育におけるキャリア教育を充実させることの3点を指摘した.
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齊藤 智樹
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究では,Next Generation Science Standards(NGSS, 2013)における,領域横断的な概念(Cross-cuing Concepts: CCs)と米国でのその歴史的な扱いに着目し,STEM教育の統合的・領域横断的な学習を支える分析的な枠組みの在り方について,基礎的な研究を行った.特に,NGSSにおけるこれら概念が,領域の核となる概念(DCIs)や科学とエンジニアリングの体験的・経験的活動(SEPs)と効果的に統合されることを目指す,3Dラーニングモデルにおいてどのように扱われているか,それぞれの概念と領域がどのようにつながれているか,またCCs同士がどのように連携するかといった点を明らかにし,領域横断的なカリキュラムの結節点として,期待される機能について考察した.
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辻 宏子
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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STEM 教育における課題として,「算数・数学」の位置づけがその一つとして挙げられる.STEM 教育を先進的に進めている米国では,NGSS においてCCSSM をもとに科学と数学の内容の関連付けを詳細に行っているなどの取り組みがある.本研究においては,この取り組みについて整理し,今後の日本におけるSTEM 教育への取り組みに対する示唆を得ることを目的とする.
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森 健一郎
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究は,NGSS で提示されている領域横断的な概念を,領域横断的な学習の結節点として,科学教育に関する教科のカリキュラムへ埋め込む際の指導・評価の在り方について検討するものである.公立中学校の第1学年を対象に,理科の「身の回りの物理現象(浮力)」単元で,NGSS の「7つの横断的な概念」のうちの「原因と結果(メカニズムと説明)」および「安定性と変化」の概念の活用を意図した授業実践をおこなった.先行研究を参考に,この概念から授業の課題を生成し,浮沈子のしくみを考察する探究活動をおこなった.ワークシートの記述を分析したところ,「変化しているもの」と「変化していないもの」の区別を明確にしたうえで原理を説明しようとした生徒は,浮力について正しい理解している可能性が高いことが確認できた.
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松原 憲治
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本課題研究では,STEM 教育で提示されている領域横断的な概念を指導やカリキュラムに埋め込む際,どのような観点で実践すべきかについて,事例を基に検討がなされる.本稿(指定討論)では,資質・能力の育成を重視する教科横断的な学習の視点から,NGSS の領域横断的概念の位置付けを考察するとともに,現代的な諸課題に対応する資質・能力の育成を目指すカリキュラムや学習活動の例をその要素と共に示し検討してみたい.
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瀬沼 花子, 加々美 勝久
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿の目的は,課題研究「ジェンダーの視座による数学教育研究」の全体像を述べ,次に,戦前の女子の数学教育の実際を明らかにすることにある.昭和18年は数学教育再構成運動の時代であり,高等女学校の女子学生と中学校の男子学生は異なる教科書で学んでいた.女子は男子の数学を薄めた内容ではなく,女子独自の内容を学んでいた.当時の教育の背景を文献やさらなるインタビューによって明らかにする必要がある.
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日野 圭子, 木村 百合子
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿の目的は,1990年代以降の諸外国のジェンダー研究の動向を探り,本科研に対する示唆を得ることである.選出した6冊の数学教育学ハンドブックから,ジェンダーやそれに関わる章の内容をレビューした結果,階層や人種,社会経済的地位などの多元的変数の認識によって,不利益を被るグループが直面する障壁や問題の中でジェンダーの問題が展開していることが分かった.更に,研究対象や研究方法に拡がりもみられる.こうした結果は,日本における現状を理解し,問題への介入をする上での幾つかの方向性を示唆している.
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加藤 久恵
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿の目的は,『実世界と数学』を結び付ける教材を多様な観点から作成することにより,女子や数学が苦手な男子の数学に対する意識(数学の価値や有用性)が高まるのではないかということを追求していく基礎資料として,現行の中学校数学科教科書における関数領域(中学1年生の比例・反比例,中学2年生の一次関数,中学3年生の関数 y=ax2 )の文脈を検討することである.その結果,学習内容を実世界と関連付けることへ示唆を与える工夫が得られた.
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平林 真伊
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿の目的は,現実的な問題場面に焦点を当て,男女差による解の求め方の差異を明らかにすることである.児童の価値観を観点として,余りのあるわり算に関する問題に対する児童の解答を分析した結果,多様な価値観が特定されるとともに,複数の解決方法に関して統計的な有意差が見られ,男女差に応じて結論を求める際の価値観に違いが生じる可能性があることが明らかにされた.
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國次 太郎
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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昭和19年に中等学校教科書株式会社から著作発行された高等女学校五年制用教科書「数学4,5」には,国勢調査の結果を用いた人口の分析などが新しく導入された.そこでは昭和百年までの人口の推計をグラフにかいたり,人口ピラミッドの予想図を読み取とる課題があった.
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今井 泉, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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筆者らは,日本の教育風土にあう中等教育における化学の基本概念をChemistry in Relevance (CHiR)の基本概念とした。そして,現行の高等学校学習指導要領理科解説「化学基礎」・「化学」の内容は,全てCHiRの各基本概念の内容と関連していることを明らかにした.本研究では,第1段階として,基本概念「供与体−受容体」において4領域のコンピテンシーが示されたマップを作成した.その結果を踏まえ,第2段階として,資質・能力指向の文脈を基盤とした授業デザインを試みた.
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遠藤 優介, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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資質・能力指向の文脈を基盤とした中等化学学習プログラムの構築にあたり,とりわけ学習の文脈構成の面から注目される「レリバンス」概念に焦点を当て,理科(科学)教育におけるレリバンスの捉え方や要素を整理するとともに,資質・能力育成に向けた学習の文脈構成の視点から,その意味を吟味した.
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後藤 顕一, 神 孝幸, 野内 頼一, 飯田 寛志, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
フリー
新学習指導要領では,資質・能力を育成する取組が求められている。そこで,新学習指導要領の理念に基づき,単元で育成すべき資質・能力を明らかにし,その獲得,さらに化学固有の概念の獲得を目指した探究過程を意識した授業をデザインして,実践するとともに,検証,評価する取組を試みた。本報告では,酸化還元反応を利用したダニエル型電池の探究過程を意識した授業をデザインし,試行実践について報告する。なお,本報告は授業デザインと試行実践,さらにはその結果についてのみ示すこととする。
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吉岡 亮衛
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究では,平成29・30年改訂の新学習指導要領とこれまでの旧学習指導要領での比較において,我々の提案する中等教育化学の基本概念の扱いがどのように変更されたのかを定量的に明らかにした.その結果,3カ所で扱いの軽重に変化があったが,総合的には学習指導要領の内容は5つの基本概念で被覆されることが分かった.その他,学習指導要領の構成についてもコメントする.
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寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究は中等教育化学におけるCompetency(以下:資質・能力とする)育成を志向しContext (以下:文脈)を基盤としたカリキュラム開発と評価を目的とする.Chemistry in Relevance (略してCHiR とする)の概略を示しつつ,研究の方向性を明らかにした.著者らが明らかにした中等教育化学における基本概念ごとに獲得すべき資質・能力を明らかにした.また,資質・能力を埋め込む文脈は興味・関心や真正性もつことに加え学習者とその学習対象との関係性を明確にする個人的・社会的・職業的次元を軸としたRelevance(レリバンス)に基づき開発する.資質・能力育成を志向し文脈に基づき多様な学習者に適した多様な授業デザインを中等教育教員と共生的実践方略をとり開発する.
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宮崎 樹夫, 吉川 厚, 中川 裕之, 藤田 太郎, 清水 静海, 岩永 恭雄
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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非認知的スキルの教師による評価は国際的に高い関心を集め,国内では喫緊の課題である。本研究では,科学教育の内容・プロセスに固有な非認知的スキルの教師による評価について,内容・プロセス横断的に比較・分析するために枠組みと,それに基づく方法を提案した。
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辻山 洋介, 青山 和裕, 小松 孝太郎, 永田 潤一郎, 吉川 厚
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
フリー
非認知的スキルの評価法を開発するための一つの取り組みとして,本稿では,中学校第1学年における領域「データの活用」の内容・活動に焦点を当て,中学校数学科の現職教師を対象とした質問紙調査を実施し,その結果を分析するとともにその意味や限界について考察した.探索的因子分析の結果,「現実事象の問題解決に対する探究心」,「解決の不確かさに対する情緒安定性や粘り強さ」,「他者の解決に対する興味・関心」という三つの因子を特定した.また,重回帰分析を行い,12個の質問項目による決定係数0.74のモデルを作成した.これらの分析の結果から,教科の内容・活動に固有な非認知的スキルを教師が認知し,価値づけられるようにする必要性とともに,その視点を身に付けることによってより多面的な評価が可能となることが示唆される.
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藤田 太郎, 榎本 哲士, 佐々 祐之
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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The goal of this study is to develop an assessment framework for students' non-cognitive skills in mathematics. This paper explores what aspects UK teachers might use to assess students' interest, willingness, and attitude to learning mathematics. We devised a set of question items based on the big five personal traits and three aspects of attitude towards learning. 10 teachers from 2 secondary schools in the UK (ages 11-16) were asked to assess in total 128 students' non-cognitive skills by using the questionnaire with 60 items. Exploratory factor analysis and multiple regression analysis suggests that although the designed question items could not fully explain what aspects the UK teachers have been using to assess non-cognitive skills, perseverance and emotional stability and working cooperatively with others might be what teachers most value as non-cognitive aspects of learning.
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佐々 祐之, 中川 裕之, 青山 和裕, 岩田 耕司
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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「数と式」,「比例・反比例」,「データの活用」という内容別に実施した非認知的スキルの教師による評価に関する調査結果を比較分析することによって,教師の非認知的スキルの評価における内容(単元)の固有性について検討した.
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山崎 貞登
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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最初に,小学校コンピューティング教育の推進するための今後の各教科等構成の在り方や,小学校高学年の教科担任制の導入と初等中等教育の連携化について論点整理をする.次に,カリキュラム・マネジメントの重視と,Society5.0を支えるSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts and Mathematics)教育,フィジカルコンピューティングによるデザイン教育,SDGsを一層充実させるために,小金井市立前原小学校,つくば市プログラミング学習の手引き(第3版)とつくば市立みどり野義務教育一貫学校の実践事例について紹介する.
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松田 孝
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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サイバー空間とリアルな空間を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を形成するためには,コンピューティングの中核となるコンピテーショナルシンキングの理解と活用が必須となる. シングルボードコンピュータ(Ichigojam)を全学年で扱った小金井市立前原小学校のプログラミング体系は,まさにコンピューティング教育を志向するカリキュラムであり,今後全国の小学校がプログラミング教育を実践・推進する際の貴重な手がかりとなる.ここでは①前原小学校のコンピューティング教育の特徴,②総合的な学習の時間におけるプログラミング学習,③コンピューティング教育の充実を見据えた教科等の構成の在り方,について報告する.
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二宮 裕之
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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コンピュータは元々「電子計算機」と呼ばれており,従来から数学との関わりは非常に強い.本稿では,コンピュータが単に数学における道具(計算機)であった時代から,数学教育における利用の可能性を探るようになった歴史的経緯とその後の進展を明らかにする.コンピュータの個人利用が可能になることと並行して,日本の高等学校数学科で「コンピュータ」「プログラミング」が扱われてきたことについても触れた上で,数学教育におけるこれらの実践研究から,今後のプログラミング教育への示唆を得ることを目的とした.
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久保田 善彦
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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2020年度から小学校においてプログラミング教育が全面実施される.既存の教科の中で実施するのであれば,その学びに資する活動にすべきである.本発表は,第一に,平成29年度公示の学習指導要領に明示された6年生「電気の利用」の単元におけるプログラミングの取り扱いについて,教科書の編集方針等を検討した.第二に,既に複数年の実績があるつくば市の実践から,理科におけるプログラミング教育を検討した.第三に,理科の系統性および教科横断的な視点から,小学校理科のプログラミング教育を検討した.
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谷田 親彦, 磯部 征尊, 大谷 忠
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿では,イングランドにおける試験局のひとつである AQA(Assessment and Qualifications Alliance)が 発行している職業資格 STEMの仕様を分析・検討した.学習の目標・内容である「Unit1」と「Unit2」では,STEM に基づいた産業をフィールドとして調査する活動や,製品やサービスを創造する活動の中で STEMの知識と理解 を適用する学習が想定されていた.それぞれの学習では,適用されるべき Science, Technology, Engineering, Mathematics に関する個別の知識や理解が明示されていた.
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内ノ倉 真吾
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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我が国での理科カリキュラムの開発・改善を視野に入れ,アメリカの初等・前期中等科学カリキュラム として科学スタンダードと科学教科書に着目し,ものづくりに関連する学習活動であるエンジニアリングデザイ ンの学習内容を探った.その結果,次のことが確認された.第一に,アメリカの科学スタンダードでは,エンジ ニアリングデザインは,初等・中等教育段階で一貫して学習する内容として位置付けられていた.第二に,科学 教科書では,科学的な知識や技能の直接的な学習に加えて,工学的な内容を追加し,間接的・統合的な学習が意 図されていた.第三に,エンジニアリングデザインは,単純に製作活動としてではなく,学習の規準(到達基準) と制約(前提条件)が設定された問題解決の過程として定型化され,繰り返し学習することが目指されていた.
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北澤 武, 宮村 連理
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿では,児童生徒の情報活用能力とSTEM/STEAM 教育に着目した授業実践について,3つの事例を紹介する.第一に,グループに1台のダブレット端末の環境下で行われた,中学校理科の物理「運動とエネルギー」の落下運動の授業実践である.STEM/STEAM教育の位置づけは,生徒は落下運動の規則性を導くための実験方法を身近な道具や機器を用いて設計,制作することと,実験結果から規則性を導くために,図式化して説明を行う学習活動であった.第二に,電磁石の性質を利用した手作りスピーカーを作成し,コイルの規則性を学習する小学校理科第5学年「電流のはたらき」の授業実践である.第三に,小学校図画工作の「表現」と「鑑賞」の学習において,造形活動で制作した児童の作品をロボットプログラミングで思い通りに動かし,これを撮影する授 業実践を紹介する.
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川越 至桜, 大島 まり, 山邉 昭則
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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急速に変化する社会背景を受け,従来の理科教育に加えてSTEAM (Science, Technology, Engineering, Arts and Mathematics) 教育の実践と体系化が国際的に進められている.本研究では,STEAM教育を実施するため,新たな教育プログラムを開発し,東京大学生産技術研究所次世代育成オフィスが開催した産学連携ワークショップおよび出張授業にて実践した.
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木村 優里, 原口 るみ, 大谷 忠
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿では,特定非営利活動法人東京学芸大こども未来研究所が,産学連携の枠組みで実施しているSTEM教育プロジェクトの事例を紹介し,それによって見えてきたSTEM教育の実践と普及に関する課題について述べた.STEM教育プロジェクトでは,イノベーション人材育成の観点から,エンジニアリングを基軸としたSTEM教育の実践と普及が行われており,学校のSTEM教育,学校外のSTEM教室,STEMの遊び場という,異なる3つの実践場面に応じて,体系的に推進されていた.本事例によって,1. 教材開発における産学連携による問いの設計の効果と難しさ,2. STEM教育に関わる多様なステークホルダーがつながることのできる普及体制の整備,3. STEM教育に関わる人材の発掘と育成のしくみの検討及び実践に向けた支援,という課題が示された.
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川上 貴, 服部 裕一郎
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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前回に引き続き,モデル・モデリングを核とした学習指導の存在意義を汎用的能力の育成の観点から考究する.今回は,科学教育全般において脚光を浴びている「批判的思考力」に焦点を当て,「どのような批判的思考力がモデル・モデリングに関する学習過程のどこで顕れ,どのように促進するのか」,また「そうした促進の様相において教科間の異同はあるのか」などについて,算数・数学と理科における実践事例に基づいて議論する.
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服部 裕一郎, 山中 貴博
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本稿では,数学的モデル化過程を三輪(1983)の図式のもとで捉え,「定式化」及び「解釈・評価」の場面に着目して生徒達の批判的思考の様相を検討する.この2つの場面において,生徒達は如何なる批判的思考を発揮するのか?また,その際の教師の役割とは何か?これらの問いの解明を目指し,ある中学校第1学年における数学授業を分析した.結果,「定式化」の場面では,教師から意図的に本質的な情報を伏せるなどの場面設定を施すこと,そして「定式化」を急がず十分な時間を確保することが生徒達の批判的思考をある程度に発揮させる機会を提供することが示唆された.この際に生徒達によって発揮された批判的思考とは問題解決に向けての本質的な情報を自らの力で抽出する作業の様相を意味する.また,「解釈・評価」の場面では,教師からの「本当か?」という発問が生徒達にとって自己の考えを批判的に修正し得る契機として有効であったことが窺えた.
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島田 功
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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社会的オープンエンドな問題(的当て問題)を用いた問題解決過程の比較検討場面における小学生の批判的思考力を抽出した.価値観の考察では(1)暗黙的な価値前提に対する批判的思考力,(2)価値観の使える範囲を吟味する批判的思考力が見られる.数学的モデルや数学的アイデアの考察では(3)数学的モデルのより簡潔な表現を求めての批判的思考力,(4)数学的アイデアによる数値化を吟味するための批判的思考力,(5)数学的モデルの使える範囲を吟味するための批判的思考力,(6)数学的モデルの一般化の確認のための批判的思考力が見られる.
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滝田 和徳, 水野 高宏, 川上 貴, 牧野 智彦, 日野 圭子
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究では,批判的思考力の育成の方策としてモデリング過程に着目する.そして説明モデルの検討・改訂を通じて中学校1年生の批判的思考力がどのように促進するのかを明らかにすることを目指している.本稿では,図形の移動の活用場面における1つのグループの事例を考察した.その結果,数学の授業において,他者に再現過程を説明する現実世界の文脈を設定し,その説明方法を検討・改訂する活動を取り入れることで徐々に,数学的知識を基に他者や自分たちの説明の妥当性を見直したり相手の立場を考慮しながら説明に対する代替案を提示したりしていく具合に批判的思考力が促進すると共に,数学的知識の理解も深まることが示唆された
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雲財 寛, 和田 健, 岩田 真
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究の目的は,モデリングにおける批判的思考力の育成を目的とした学習指導法を実施し,その成果と課題を明らかにすることである.この目的を達成するため,モデルによる説明の限界点を認識させ,モデルを修正させるという学習指導法を,公立中学校第3学年の生徒31名に実施した.分析の結果,実施した学習指導法は,モデリングにおける批判的思考力の育成に一定の効果を示すことが示唆された.
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稲垣 成哲
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究の目的は,科学系博物館における感覚障害者向けの学習保障ガイドラインの体系化とその展示技法の開発,さらに具体例としての学習保障実践モデルの提案を行うことである。周知のように,H28 年4 月(2016) より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され,各方面における社会的障壁の除去・軽減は,必要かつ喫緊の問題として社会全体で認識されることとなった。しかしながら,科学系博物館等における感覚障害関連の障壁の除去・軽減は僅かな事例を除いて,ほとんど手つかずの状況であり,その克服のための研究知見,さらには学習支援への知見も蓄積が乏しいといわざるを得ない。そこで本課題研究では,情報デザイン・知能機械工学・福祉工学などの分野と連携しながら,本プロジェクトチームが取り組んできた研究の予備的な知見を提示し,参加者からのレビューを得るものとする。
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島 絵里子, 八木下 志麻, 小川 義和, 稲垣 成哲
セッションID: 1
発行日: 2019年
公開日: 2020/07/31
会議録・要旨集
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本研究では, 自然史博物館の出前講座における化石標本をさわること・観察すること(触察)を中心とした活動において, 盲ろう者がどのような経験をし, どのような思いを抱いているかについて探究することを目的とした.事前に, 博物館の出前講座に参加予定の盲ろう者とその介助者に調査協力の依頼手紙文を渡し, 調査協力の回答をくださった2組を対象に調査を行った.直接化石標本にさわれること, そこから自分で思い描くこと, 感動をその場でみんなと共有できることの重要性や, 標本をじっくりさわる重要性が浮かび上がった。
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