主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第45回年会 鹿児島大会
開催日: 2021/08/20 - 2021/08/22
本稿の目的は,数学的モデリング研究のローカルな理論の1つである規範的モデリングの観点から,社会指向のデータモデリングの特徴を明らかにすることである.そのために,COVID-19感染対策に関する社会的意思決定を行ったある大学生のデータモデリングの様相の一部を分析した.その結果,以下の2つの特徴が事例的に明らかとなった.(1)ドットプロット,箱ひげ図,散布図といったグラフモデルの役割が,四分位数などの指標モデルを伴うことで,データの傾向を描写する「記述手段」から,データに基づく社会的意思決定そのものを形成し示す「行為遂行的な手段」へと移行していく.(2)モデルの構成,改訂を通して,両者の役割が交互に現れ,よりよい社会的意思決定が生まれてくる.こうした特徴をもつ社会指向のデータモデリングの活動は,社会におけるデータやモデルの役割を振り返る契機になりうる.