主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第45回年会 鹿児島大会
開催日: 2021/08/20 - 2021/08/22
高等学校化学における有機化学では種々の反応が取りあげられている.また,一部の教科書には発展的な内容として有機電子論が掲載されている.同様に発展的な内容として扱われてきたエンタルピーおよびエントロピーは,その理論の体系をよりよく理解するため熱化学方程式に代わって取り扱われる.体系の理解の観点からは,有機電子論を指導に含めることも有用である.本研究では体系的理解を目的とした高等学校化学における有機電子論の導入の可能性を検討するため,さまざまな高等学校に通う高校生を対象とし,有機電子論を用いた指導が高校生にどのように受け入れられるかを調査した.有機電子論は高校生には難しく感じられることが多く,実際に指導に用いるにあたっては丁寧な導入を必要とすることが明確化されたものの,半数を超える高校生が理解できたと回答し,電子の移動を意識した回答も記述された.