主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会第47回年会
回次: 47
開催地: 愛媛大学
開催日: 2023/09/18 - 2023/09/20
文部科学省が推進する「STEAM教育等の教科等横断的な学習」では,複数の教科等の「見方・考え方」を総合的・統合的に生かしていく探究活動を充実させることが重視されている.本稿の目的は,現代社会に生きる市民を育成する側面としての「STEAM教育等の教科等横断的な学習」における数学的な見方・考え方の働きの一端を明らかにすることである.そのために,コロナ禍において現代社会に生きる市民としてどう考えるかを生徒に問うた「大規模PCR検査を行っていくべきか」という実践を,見方・考え方の働きを視点として分析した.結果として,数学的な見方・考え方は,意思決定の基盤となる数値的根拠をつくりだす働きをすることは勿論ながら,他教科等の見方・考え方の働きを促しうることが示唆された.意思決定においては数値的根拠に加えて様々な価値観が影響するが,数学的な見方・考え方は,その価値観の表出や生成にも貢献しうると考えられる.