抄録
本研究グループでは高校必修理科科目の設置を目指しており,そこで扱うべき現代社会の課題を踏まえた具体的なカリキュラム案を作成した.現職教員からの合意が得やすく,かつ,現行の学習指導要領からの移行のしやすさを重視し「化学+生物」を理科A(3単位),「物理+地学」を理科B(3単位)として設定した.理科Aでは,生物と化学の内容を交互に展開することで様々な生命現象を化学で説明できるような構成を作ることができた.理科Bでは,宇宙や地震の単元において地学と物理を融合させて理解する構成とした.両科目では課題研究としてそれぞれ10単位分を設定し,身に付けた基本的な自然科学の素養を,現代社会の課題解決につなげる形にしているのが特徴である.