抄録
本校では二十数年間継続して理科を校内研修の中心に据え,様々な実践的研究を行ってきた。ここでは,その内の過去4年間の研究の一部を報告した。研究の主眼は子どもの意欲的主体的学習によって自己学習力を身につけさせる手立てを追求することである。その手法の一つとして,授業の中で子どもが理科の学習を楽しいものと感じて自身の学習方向を示唆する設計図(問題解決図)を書かせる授業実践を試みた。設計図は,ただ単に実験観察をさせたり,問題解決をさせたりするための形式的手立てではなく,そこには自分自身が学習課題を把握し,学習意欲を喚起し,自身の課題を解決する独自の方法を考えることで主体的な学習を成立させようとする意図がある。本文では,生活科と中学年理科とにおける実践例をもとに,設計図の性格とその効果について具体的に説明した。