2018 年 33 巻 3 号 p. 15-20
本稿の目的は,文章題解決の際に小学校第1~3学年の児童が実際にかいた図と教科書で扱われている図とを照らし合わせ,児童が文章題解決時に活用する図が発達段階と学習内容に応じてどのように変容するかを検討・考察することである.そのためにまず,整数の加法・減法に関する文章題において利用する図を,情景図,場面図,構造図,手続き図に分類できることを提案する.またこれらの図について抽象性の観点から検討する.次にこの分類を基に,各学年の教科書で扱われる図の特徴を分析する.この分析結果と児童が実際にかいた図との検討・考察から,学年が上がるごとに問題解決に有効な図をかくことができる児童が増えていること,教科書では,第1学年から抽象的レベルの図を用いて問題を考えることを求めているが,具象的レベルの図をかいている児童が多くいること,が示された.