分岐鎖アミノ酸(BCAA:ロイシン,イソロイシン,バリン)は,タンパク質の主要構成成分としてのみでなく種々の代謝系を調節する栄養因子としても機能している.体内の遊離BCAA濃度の調節機構は十分に解明されてないが,体内の遊離BCAA(特にロイシン)の変動がタンパク質および糖代謝に大きな影響を及ぼすことは確かである.これまでに,インスリンはBCAA代謝を調節することは明らかにされており,インスリン抵抗性が増大する肥満・2型糖尿病および肝硬変では,それらの病態におけるBCAA代謝の特徴が明らかにされつつある.本報告では,これらの疾病を例として,BCAA代謝とインスリン抵抗性の関係について解説する.