抄録
空腸皮膚瘻は,高刺激性の排液コントロールと栄養状態の管理において難渋することがある.今回,難治性空腸皮膚瘻に局所陰圧閉鎖療法と経瘻孔栄養を併用し,待機的に根治術を行った1例を経験したので報告する.症例は80歳の女性で,腹痛を主訴に当院搬送された.S状結腸憩室穿孔と診断し,緊急開腹Hartmann手術を施行した.初回手術後16日目に創部から消化液の流出を認めたが,全身状態不良であり,保存的加療の方針とした.局所陰圧閉鎖療法を行い,高刺激性の排液を誘導した.透視検査で瘻孔部はトライツ靭帯から肛門側40cmの近位空腸と判明した.瘻孔部肛門側の腸管に経腸栄養チューブを留置し,経腸栄養を開始したところ,Alb値やT‐Cho値の改善を認めた.初回術後149日目に待機的に瘻孔部の小腸部分切除術を行った.難治性空腸皮膚瘻に対する局所陰圧閉鎖療法と経瘻孔栄養の併用は有用と考えられた.