抄録
精密農業は作物生育の圃場内差異を改善するための営農マネジメント戦略であり,その改善方法は「可変投入」による施肥管理の是正が主である。しかし,我が国の既存研究から,作物生育の圃場内差異は,土壌基盤(土層の物理的特徴)および微地形に影響を受けていることが示されている。このことから,精密農業の展開のためには,土壌物理性についても考慮することが必要であり,そのためには土壌物理情報を詳細に把握することが重要である。土壌基盤情報の把握に関する研究事例として,衛星画像および10m メッシュのデジタル標高デー夕から,土壌基盤の違いを考慮した大縮尺土壌図作成方法が検討されている。微地形情報の取得では,前述した標高データ以外に,無人ヘリコプタを利用したセンシングシステムの有効性が示されている。