土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土壁中の水分移動に関するモデル実験と解析
石崎 武志
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2005 年 100 巻 p. 35-41

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抄録

寺院や歴史的建造物の土壁の内側に貴重な壁画が描かれている場合がある。土は多孔質体であるので,壁画を取り巻く環境の変化によって土壁中の水分が移動する。土壁の周囲の湿度が低下すると,土壁中の水分は表面から蒸発し,その水の移動に伴って動いた塩類が土壁表面で析出し壁画を傷める。この現象を塩類風化という。壁画の保存対策を考える上で,土壁中の水分分布や水分移動を定量的に求めることは重要である。ここでは,試験土壁を作成し,小型TDR水分測定装置を用いて,土壁作成時の水分分布の変化を測定した。一方,土壁中の水分分布の変化は,ドレスデンエ科大学で開発した熱,水分移動解析プログラムDelphin 4を用いて解析した。実験と解析結果から,本シミュレーション解析手法が土壁中の水分移動を評価するエで有効であることが分かった。

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© 2005 土壌物理学会
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