土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
砂質火砕流堆積物の客土によるクラスト形成の抑制を主体とした畑土壌の物理性改善技術
横井 義雄
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2006 年 103 巻 p. 3-12

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抄録
美瑛丘陵地では,灰色台地土および褐色森林土に形成するクラストが,作物生産性向上において制限要因となっている。本土壌は,粒径組成がCL〜LiCと段丘堆積物母材の重粘土に比較し,粘土含量が少ない傾向にあり,降雨によりスレーキングを起こし,分散性が高いため,その後の乾燥に伴いクラストが容易に形成する。そのクラスト形成土壌は土壌固相率と容積重が著しく大きく,粗孔隙量が少なく,土壌硬度も乾燥に伴い著しく高まる特徴がある。このクラスト形成土壌に対する,砂質火砕流堆積物客土の効果は,畑作物に対して客土 5〜10 cmで収量が安定的に向上した。農業機械作業に対しても,プラウ耕うん時の牽引比抵抗を軽減する。クラスト形成土壌の物理性改良を目的とする客土の要否判定項目は,①シルト+粘土含量 0.35 kg kg-1以上,②クラスト硬度 0.8 MPa以上,③容積量1.35 Mg m-3以上で,これらのいずれかで客土が必要と判断できる。
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© 2006 土壌物理学会
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