土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
耕起,不耕起が亜熱帯サトウキビ畑土壌の 養分溶脱に与える影響
朝田 景干川 明加藤 誠西村 拓
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2006 年 104 巻 p. 41-49

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抄録
畑地の不耕起化が土壌の物理性,化学性,根系分布,土壌養分の溶脱フラックスに与える影響について調べた。CTのサトウキビ根は浅く水平方向へ拡大し,NTでは鉛直方向へ拡大していた。NTで根系の発達が見られた土壌深さ 15-25 cmではCTと比較して乾燥密度が小さく,間隙率が大きかった。また,NTにおける無機態窒素の溶脱量は表層から深さ 20 cmまではCTより約 4 倍多かったが,根群より下では同程度となった。これは,休耕していた 5 年間に生成した根成孔隙やバイオポアが不耕起により維持され,根系が発達し,多くの養分イオンが吸収されたためと考えられる。根成孔隙や土壌動物の移動跡のようなマクロポアが水の浸透へ大きく寄与するため,NTではサクションが 0 から一0.3 kPaまでの飽和近傍の現場透水係数がCTよりも大きかった。したがって,根が十分発達していない時期に飽和に近い浸透流が発生すると,地表に散布された化学肥料等が浸透水とともに速やかに下層へ移動し, 地下水汚染となる可能性があると考えられる。
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© 2006 土壌物理学会
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