土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
104 巻
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 漉澤 栄
    2006 年 104 巻 p. 1-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/18
    ジャーナル フリー
  • 宮本 英揮, 筑紫 二郎
    2006 年 104 巻 p. 5-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/18
    ジャーナル フリー
    土壌カラムの水分計測精度の向上を目的として,カラム接着型TDRプローブ(CAプローブ)を作成し,キャリブレーション,プロープ断面の電場シミュレーション,様々な媒体による検定を実施し,CAプローブの特性を検証した。CAプローブは,背面のアクリルの存在により電場環境に偏りが生じるため,標準的な並行プローブに比べ測定媒体の比誘電率を過小評価する特徴を持ち,また,測定された比誘電率-体積含水率の関係に対するTopp式の適合性は低かった。しかし,誘電混合モデルとTopp式を組み合わせて,測定された比誘電率からアクリル部の効果を除外したところ,実測値に対するTopp式の適合性が大きく向上することが明らかになった。
  • 溝田 智俊, 山口 陽子, 登尾 浩助
    2006 年 104 巻 p. 13-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/18
    ジャーナル フリー
    家畜排泄物に含まれる有機窒素成分は,土壌に散布されると土壌生物の作用によって化学変化を受ける。東北地方の黒ボク土採草地に散布された乳牛尿スラリーに含まれる窒素の微生物学的変換を化学組成(アンモニア態と硝酸態窒素)と窒素同位体自然存在比(515N)の経時的変化に注目して解析した。乳牛糞尿の主な有機態窒素である尿素とその代謝物のほとんどは,密閉式地下タンクに貯蔵中にアンモニア態窒素に加水分解された。平均気温が低く地温が低い条件下では,アンモニア態窒素の硝化が大きく遅れた。一方,平均気温が高い条件下では,硝化は促進された。硝化に続く脱窒過程は,硝酸態窒素含量の急激な減少と同時に起こった残存硝酸態窒素中のゲ5N値の上昇によって示された。このような過程は黒ボク土の高水分保持特性と草本植生からの有機物の十分な供給が組み合わされることによって促進されると推定された。
  • アーメッド アルブサイディ, 山本 太平, バキート チヤールス, クックソン ピーター
    2006 年 104 巻 p. 27-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/18
    ジャーナル フリー
    作物の生育を制限する塩類集積は,乾燥•半乾燥地域をはじめ世界中で問題になっている。土壌の塩類化の目安として,土壌抽出液の電気伝導度(EC)を測定することが多く, これまでに様々な手法が用いられてきた。破壊的な方法として,土壌試料を採取した後,ペースト状の飽和抽出液, あるいは土壌試料と水との比が1 : 1 , 1 : 5 となるような懸濁抽出液を調製し, そのECを測定する方法があり, 一般的な方法である。—方,非破壊的に測定する方法として,シグマプローブと呼ばれる土壌水のECを直接測定する方法がある。本研究の目的は,土性および塩濃度の異なる石灰質土壌を用いて,土壌水抽出液のEC測定とシグマプローブによるEC測定との関連性を検討することである。抽出液のE C測定とシグマプローブによるE C測定の結果は,全体的に高い相関(R2=0.98)を示した。さらに土壌中に多くの塩が存在するとき, ペースト状にして得られた飽和抽出液と 1 : 5 懸濁液のECとの間に直線的な相関が得られ,  20 dS/m以下のECの場合, 最も高い相関が得られた。シグマプローブによる測定値は,土壌水分量や土壌水中の塩類による影響を受けるが,飽和抽出液のEC測定値と最も相関が高かったのは,土壌水分量が低く,  10 dS/m以下のECの場合であった。土壌水中に様々な塩類(例えば, Na+, Ca2+, Mg2+など)が混在する場合や, より多くの塩類が溶解した場合に相関係数(R2)は低くなった。シグマプローブの使用により,土壌水のEC測定のための土壌採取が不要となり,現場において,土壌水抽出後のEC測定方法と遜色のない測定結果が得られるであろう。さらに,シグマプローブによるEC測定は,圃場容水量程度の低い土壌水分量の場合が最適な測定条件と考えられる。しかしながら, 土壌塩類や土壌水分が増加する場合に, さらなる研究が必要である。最後に, あらゆる確立された方法や式を土壌中の塩分量や水分量の推定に適用する前に,土壌特性や測定環境を考慮する必要がある。しかしながら,本研究で求めた方程式がある土壌で適合しているのならば,塩類の測定はシグマプローブによって短時間で行うことが可能であり,標準の方法における値と関連づけることができる。
  • 朝田 景, 干川 明, 加藤 誠, 西村 拓
    2006 年 104 巻 p. 41-49
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/19
    ジャーナル フリー
    畑地の不耕起化が土壌の物理性,化学性,根系分布,土壌養分の溶脱フラックスに与える影響について調べた。CTのサトウキビ根は浅く水平方向へ拡大し,NTでは鉛直方向へ拡大していた。NTで根系の発達が見られた土壌深さ 15-25 cmではCTと比較して乾燥密度が小さく,間隙率が大きかった。また,NTにおける無機態窒素の溶脱量は表層から深さ 20 cmまではCTより約 4 倍多かったが,根群より下では同程度となった。これは,休耕していた 5 年間に生成した根成孔隙やバイオポアが不耕起により維持され,根系が発達し,多くの養分イオンが吸収されたためと考えられる。根成孔隙や土壌動物の移動跡のようなマクロポアが水の浸透へ大きく寄与するため,NTではサクションが 0 から一0.3 kPaまでの飽和近傍の現場透水係数がCTよりも大きかった。したがって,根が十分発達していない時期に飽和に近い浸透流が発生すると,地表に散布された化学肥料等が浸透水とともに速やかに下層へ移動し, 地下水汚染となる可能性があると考えられる。
  • 井本 博美, 鴨下 顕彦, 加藤 洋一郎, 常田 岳志, 宮崎 毅
    2006 年 104 巻 p. 51-60
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/19
    ジャーナル フリー
    近年,圃場内の土壌水分状態を把握するために,多くの土壌水分センサーが開発されている。本研究では,Profile Probe 土壌水分センサー(PR1)について,そのセンサーの影響範囲の測定をし, 黒ボク土と立川ローム土を用いてPR1のキャリブレーションを行った。圃場においてPR1を設置し, 長期測定を行った。各センサーの影響範囲は水平方向で10cm,鉛直方向で10cmとなった。黒ボク土で はDelta-T社の提案しているMineral式(有機物の少ない鉱質土壌に適用),Organic式(有機質が多い土壌に適用)ともに一致しなかった。立川ローム土ではMineral式の方が実測値と近かった。PR1の各 センサー毎の校正式の必要性を明らかにした。圃場測定においても,降雨による水分移動と水分分布が測定された。
  • 取出 伸夫
    2006 年 104 巻 p. 61-62
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 広隆, 坂井 勝, Simunek Jiri, 取出 伸夫
    2006 年 104 巻 p. 63-73
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    土中の不飽和水分移動の計算に用いられる各種境界条件について,土中の条件に依存する系依存型境界条件と,依存しない独立型境界条件の2つに大別し,数学的表記,物理的な意味,適用条件について解説した。まず,独立型境界条件として,圧九 フラックス,圧力勾配境界条件を示した。そして,系依存型境界条件である降雨浸透,地表面蒸発,浸出面を対象に,土の状態に応じて境界条件が変化するモデルとその計算例を示した。さらに,マルチステップ流出法と現場浸潤実験の測定データを用いて,各種境界条件の適用事例を示した。
  • 取出 伸夫, 坂井 勝, 斎藤 広隆
    2006 年 104 巻 p. 75-84
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    土中の溶質移動の移流分散式(CDE)を対象に,表面境界条件,下端境界条件,成層土の境界条件に ついて,解析解と数値解を用いた計算例により解説した〇表面境界条件は,流入溶質フラックスが移流 項で表現できる限りフラックス境界が適切であること,濃度境界は流入溶質フラックスを過大評価する こと,水分フラックスが非常に小さい場合には濃度境界層の考慮が必要なことを示した。また,流出液 濃度に対する補正濃度であるフラックス濃度は,通常の条件では,有限長の土の下端濃度勾配をゼロと 仮定した濃度と良く一致することを示した。
  • 永田 修
    2006 年 104 巻 p. 85-95
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    湿地は1平方キロメ ートル当たり約 70 tの炭素を蓄積しており生態系の中において重要な炭素プールである。年間の泥炭堆積厚は 0.15 mmから 1 mm,また,炭素蓄積速度は,年間 1 m2当たり 11 gから 80 gと報告されている。湿地は自然発生源においてメタンの最も大きな放出源で,世界の緯度別にみると 60 %以上が熱帯から,そして, 30 %が北方域からもたらされている。フラックスは 8 月から 9 月にかけて高くなるという季節的な傾向がみられ,さらに,融雪後にも大きな値がみられる。メタン放出については,大気圧の低下により,気泡中のメタンが突発的に噴出されることも示されている。湿原における亜酸化窒素に関する報告は少なく,自然状態で発生は認められないが,排水によって水位が低下した場合には放出される場合がある。ササが侵入した湿原での温室効果ガスの測定から,ササの侵入が地球温暖化を促進することが示され ている。北海道石狩川流域における湿原から農耕地への土地利用変化は地球温暖化を促進する過程であった。
  • 冨士田 裕子
    2006 年 104 巻 p. 97-108
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    広大な泥炭地が広がる北海道には,数多くの湿原が残存する。多くは低地の沖積平野に分布し,河川氾濫の影響を受ける鉱水涵養性の低層湿原であるが,雨水涵養性の高層湿原まで発達したものも見られる。北海道の湿原植生は,橘(1997),橘(2002)により温度と降水量(冬季の降雪量と最深積雪)の環境傾度上の分布から,低地湿原は5グループに,山地湿原は6グループに区分される。泥炭地内での植物群落の配列は,泥炭地特有の微地形と水文環境,特に地下水位の高さとその変動パターン,更に雨水涵養性か鉱水涵養性かによって規定される。近年は,残存湿原で排水の影響による植生の退行が顕在化している。特に北海道南西部から道北地域の低地湿原では,ササの湿原内への侵入が顕著で地下水位低下との関係が指摘されている。
  • 石渡 輝夫
    2006 年 104 巻 p. 109-117
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    北海道における泥炭農地の整備技術の変遷と課題を土壌物理性との関連で述べた。泥炭原野の農地化のために排水や客土等がなされてきたが,泥炭層が厚い場合には排水に伴い数mに及ぶ地盤沈下が生じている。これは農地利用の支障になるだけでなく,隣接する泥炭未墾地にも影響し,温室効果ガスの放散も伴うことから,新たな利用•整備が必要とされている。
  • 和田 信一郎
    2006 年 104 巻 p. 119-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    イモゴライトの発見を報じた2つの論文の内容,その発見の経緯や最近の研究について述べる。イモゴライトは1962年に吉永•青峰によってイモゴと呼ばれる火山灰土層から発見された繊維状の形態をもつアルミニウムケイ酸塩鉱物である。以前に研究対象とした火山灰土の粘土画分の電子顕微鏡写真に見られた繊維状物質を見逃さなかったことが発見につながった。彼らはその繊維状鉱物が酸性でのみ分散することを見出し, それを利用して分離濃縮し, 化学分析, X線回折, 熱分析, 赤外スペクトル測定などを行ない,新鉱物であることを確認してイモゴライトと命名した。その後,世界各地の火山灰土でイモゴライト見いだされた。また構造決定,人工合成も行なわれた。最近は工業材料として利用するた めの研究が精力的に行なわれている。
  • 宮崎 毅
    2006 年 104 巻 p. 127-139
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
    1956年,物理学者である兄E.E. Millerと土壌物理学者である弟R.D. Millerにより提起された土の相似理論を取り上げた。ミクロスケールの特性長を定義すれば,1つの土から別の土の物理性を導くことができるというこの理論は,1950年代に熱い議論を引き起こした。1960年代に議論は沈静化したが,1970年代に再びフィールドの不均一性を現す指標として再燃した。土の相似理論は,美しい統一的な理論であるが,適用限界を持つ。筆者らが開発した土の非相似概念は,この有名な古典に触発されて生まれたものであることも,併せて記述した。
  • 加藤 邦彦
    2006 年 104 巻 p. 141
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
  • 柏木 淳一
    2006 年 104 巻 p. 143-144
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
  • 成岡 市
    2006 年 104 巻 p. 145
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
  • 柏木 淳一
    2006 年 104 巻 p. 150
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top