土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
泥炭地の特性と湿原植生
冨士田 裕子
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2006 年 104 巻 p. 97-108

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抄録

広大な泥炭地が広がる北海道には,数多くの湿原が残存する。多くは低地の沖積平野に分布し,河川氾濫の影響を受ける鉱水涵養性の低層湿原であるが,雨水涵養性の高層湿原まで発達したものも見られる。北海道の湿原植生は,橘(1997),橘(2002)により温度と降水量(冬季の降雪量と最深積雪)の環境傾度上の分布から,低地湿原は5グループに,山地湿原は6グループに区分される。泥炭地内での植物群落の配列は,泥炭地特有の微地形と水文環境,特に地下水位の高さとその変動パターン,更に雨水涵養性か鉱水涵養性かによって規定される。近年は,残存湿原で排水の影響による植生の退行が顕在化している。特に北海道南西部から道北地域の低地湿原では,ササの湿原内への侵入が顕著で地下水位低下との関係が指摘されている。

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© 2006 土壌物理学会
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