抄録
アルカリ性で凝集するイモゴライトの性質を明らかにするため,モンモリロナイトとカオリナイトの分散凝集特性に対するイモゴライト添加の影響を調べた。イモゴライトを1:1で混合したモンモリロナイトはすべてのpHで凝集した。電子顕微鏡観察によれば,イモゴライトとモンモリロナイトは,イモゴライトの混合割合が低い場合を含めてすべてのpHで相互に凝集した。非脱鉄カオリナイトはpH5.9以下で凝集しpH 6.0以上で分散したが,約5%のイモゴライト添加で分散凝集特性が逆転した。ミクロに見ると,すべてのイモゴライト混合試料は酸性でもアルカリ性でも凝集した。その理由は,酸性ではイモゴライトの変異正電荷と結晶性粘土鉱物の永久負電荷の引力のため,アルカリ性ではイモゴライトの表面が電気的に中性になるためと考えられた。