2007 年 107 巻 p. 79-96
土中の水分•温度の中期または長期変動を液状水•水蒸気•熱の同時移動計算に基づき予測するとき,大気と土の境界面における境界条件は,地表面で水収支式とヱネルギー収支式を解くことで導くことができる。本報では,ヱネルギー収支式の各ヱネルギー成分を計算する際に,気温,湿度,風速の日データから簡単な補間式を用いて得られた連続データを使う方法を,乾燥地における裸地への適用実例を用いて解説した。求めた地表面熱フラックスを境界条件として用いたところ,高い精度で地温の長期変動予測が行うことができた。これより,地温の予測を大きく改善するために,単純に一部の気象デー夕の精度を高めたり,また時間的に密に測定してデータ数を増やすことが必ずしも効果的でないことが示唆された。エネルギー収支式を解いて求められた境界条件を使う場合,地温や水分量を決定する様々な要素を,釣り合いのとれた精度で与えることが重要である。