抄録
TDRを土壌水分計測法として利用可能なことを広く知らしめた,1980年に発表されたToppらの論文(ToppがaZ.,1980)を紹介した。土性の影響が少なく θv—Ka関係が得られたという結果やToppらが観察した土壌の誘電特性が,その後の研究発展のための多くの示唆に富むものであったこと,温度依存性や塩濃度の影響も含めTDRを土壌水分計測に用いる際に必要な情報が適切に議論されていることを示した。また,新しい計測法が自分の専門分野や関連分野の研究者の間で認められ,普及するためには,測定原理を示すだけではなく,計測装置の開発や絶え間ない改良と普及活動が必要である。このため,ToppがTDRと関わるようになった経緯やToppらの論文(Topp et al.,1980)発表後の研究•普及活動についても併せて紹介した。