抄録
生物環境調節学分野における ECH2O プローブ(EC-5,ECH2O-TE;デカゴン社)の適用事例として,同プローブを利用した養液栽培におけるニンジン培地ならびに貯蔵籾の水分計測実験について概説した.養液栽培実験では,培養液の電気伝導度が EC-5 からの出力電圧に影響をおよぼしたため,製造メーカーが推奨する校正式に基づき,培地の体積含水率を精度よく評価することができなかった.その影響を修正するために,培養液の電気伝導度が既知で概ね一定で推移する場合に適用できる EC-5 の電気伝導度依存性の経験的修正法を提案し,その有効性を検討した.その結果,提案した修正法は,導電性が異なる培地の体積含水率と出力電圧との関係を評価するのに有用であることを確認した.一方,籾が乾燥していく際の水分減少過程を,EC-5 と ECH2O-TE で計測した.実験により,水分量と出力電圧
との関係または水分量と比誘電率との関係を良好に表現できる校正式を得た.