土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
中国黄土高原における土壌水分モニタリングと課題
齊藤 忠臣
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2010 年 114 巻 p. 37-40

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抄録
中国の黄土高原は世界で最も水食の被害が深刻な地域として知られる.中国政府は水食対策の一つとして,大規模植林プロジェクト「退耕還林 · 還草」を実施しており,斜面地での植林に際しては,魚鱗坑と呼ばれるウォーターハーベスティングが用いられている.本報では,黄土高原北部の実験区における魚鱗坑の評価のための誘電率水分計を用いた土壌水分モニタリングの内容を紹介した上で,その課題点を検討した.本報で取り上げた課題は,i)センサーの温度 · 塩依存性,ii)故障によるデータの欠損,iii)プローブの個体差の問題の3つである.特に ii)と iii)の課題に関しては,ユーザー側の努力で解決できる範囲は限られている.ユーザーと製造 · 提供元の相互協力の下,安定 · 高精度なプローブの開発 · 製造が期待される.
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© 2010 土壌物理学会
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