抄録
土壌中での生物地球化学的プロセスの解析,特に生元素の挙動の解析においては,様々な物理的,化学的そして生物的な影響を生元素が同時に受けるため,極めて困難である.そのため,しばしば実験室内で,制御環境下における生元素の挙動を追跡し,得られた結果を野外モニタリングデータの解析へと外挿するが,その際にはいくつか大きなギャップがある.本稿では,このような実験室で得られる結果と野外モニタリングのつながりについて,特に硝化活性というものを中心に,どのような問題があり,どのような解決策があり得るかについて解説する.特に近年,ガス濃度測定や安定同位体比の利用について,新たな測定解析手法が提案されてきており,本稿ではそれらについて特に解説して行く.