土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
122 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 石黒 宗秀
    2012 年 122 巻 p. 1-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー
  • 廣住 豊一, 黒澤 俊人, 成岡 市
    2012 年 122 巻 p. 3-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル フリー
    本論では,土壌の単位面積あたりの質量を「土壌面密度」と定義し,土壌構造を表現する新たな概念として提案した.また,軟 X 線画像法を用いた土壌面密度の測定法について検討した.その結果,土壌の厚さおよび乾燥密度の増加に連動して軟 X 線画像の画素濃度が増加することから,土壌面密度は軟X 線画像の平均濃度階調値と密接な関係があることを示した.この関係は一次関数で近似できることを示し,軟 X 線画像法による土壌面密度測定が可能であることを示した.
  • Kosuke NOBORIO, Kazuyoshi ONO, Junpei MANO, Takumi MIURA, Naoya SATTA, ...
    2012 年 122 巻 p. 15-21
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    蒸発散量(ET)の適切な推定は,農地におけるよりよい家畜ふん尿及び水管理を行う上で重要である.ボーエン比法や渦相関法などの微気象学的方法が ET 測定には一般的であるが,特殊な測定器や複数の測定器が必要である.一方,熱収支法による ET 推定は,簡易に入手可能な気象観測データを使って行うことができる.熱収支法を使った ET 推定値をボーエン比法による測定値と比較して評価した.岩手県盛岡市近郊にあるリード・カナリーグラス牧草畑において,短波放射量,気温,相対湿度,風速などの気象データを測定した.また,ボーエン比法測定装置も同一ほ場内に設置した.牧草キャノピー表面における熱収支式は,キャノピー温度 Ts の関数として表される.蒸発散量 E を求めるためにニュートン・ラプソン法を使って Ts についてこの熱収支式を解いた.熱収支法では,Rn > 500W m‒2 の時に純放射量 R(W m n ‒2)と潜熱フラックス LE (W m‒2)をわずかに過大評価した.しかしそれ以外の時は,熱収支法で推定した Rn と LE および顕熱フラックス H (W m‒2)は,ボーエン比法で測定したこれらの値と良く一致した.日の出から日没の間の蒸発散量の積算値を日蒸発散量として,2003 年 7 月 1 日から 7 月 28 日まで計算した.両法による日蒸発散量は,r = 0.96 (P < 0.001)で非常に良く一致した.熱収支法による日蒸発散量の推定は有効であると考えられる.
  • 酒井 一人, 仲村 渠将, 吉永 安俊, 長野 敏英, 大澤 和俊, 石田 朋康
    2012 年 122 巻 p. 23-31
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,冬季に沖縄県北部亜熱帯広葉樹林地の沢沿い複数地点での CO2 フラックス,地温測定および土壌水分測定により,CO2 フラックスの地点間および観測日による変動実態を把握し,既往研究と比較した.さらに,対象地点の土壌の粒度分布,有機物含有量,根量と CO2 フラックスの関係について解析した.また,温度制御した円筒管土壌呼吸実験により対象土壌の CO2 フラックスの温度依存性について確認した.その結果,次の①~⑤が認められた.① CO2 フラックスはばらつきがあり,南尾根で最大,谷に向かって小さくなる傾向にあった.同じ観測日での地温の測定地点間差は小さく,各地点の観測時の温度差が CO2 フラックスの差に与えた影響は小さいと判断された.②既往の研究との比較では,本調査での値は A0 層除去の影響により小さかったと判断できた.③観測日の温度の違いによる CO2 フラックスの違いは明確ではなかった.それに対して,土壌水分の増加により CO2 フラックスが減少するという土壌呼吸特性が見られた.④本研究での観測では,粒度組成,有機物量,根量などとCO2 フラックスの関連性は明確ではなかった.⑤土層実験により温度依存性を調べた結果,既往研究で示された Q10 値の範囲内の結果を得た.
  • 木庭 啓介
    2012 年 122 巻 p. 35-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    土壌中での生物地球化学的プロセスの解析,特に生元素の挙動の解析においては,様々な物理的,化学的そして生物的な影響を生元素が同時に受けるため,極めて困難である.そのため,しばしば実験室内で,制御環境下における生元素の挙動を追跡し,得られた結果を野外モニタリングデータの解析へと外挿するが,その際にはいくつか大きなギャップがある.本稿では,このような実験室で得られる結果と野外モニタリングのつながりについて,特に硝化活性というものを中心に,どのような問題があり,どのような解決策があり得るかについて解説する.特に近年,ガス濃度測定や安定同位体比の利用について,新たな測定解析手法が提案されてきており,本稿ではそれらについて特に解説して行く.
  • 柳井 洋介
    2012 年 122 巻 p. 41-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    土壌の季節的な凍結融解がもたらす短期集中的な一酸化二窒素(N2O)の排出について,実験室内での微生物生態生理学的な研究から得た示唆をもとに計画した観測の,方法と得られた結果を概観した.土壌中で N2O 分圧が上昇するときに酸素分圧の低下が伴うことを季節凍土で示すことはできたものの,季節凍土での土壌ガス中酸素分圧を決定するメカニズムの解明には至らず,現象の理解ならびに広域評価方法の提案に課題が残された.一方で,農地での環境負荷をモデリングするために必要な実験室内での培養実験もあるはずで,土壌微生物反応の定量化とともに物質の生成及び消費反応と移動現象を区別する学理の構築がより一層望まれる.
  • 澤野 真治
    2012 年 122 巻 p. 45-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    気候変動といった広域で起こる環境変動に対する作物の応答を総合的に評価する際に有効なツールである作物モデルを広域に適用する際に加えるべき視点について,圃場での聞き取り調査の結果から広域の収量予測モデルを構築したタイ東北部の事例を用いて論じた. 聞き取り調査により把握したタイ東北部天水田の地域的な特徴である,地域的な移植時期のばらつきが水稲の生育期間の長さを通じて収量に影響するという事を表現したサブモデルを導入することで,タイ東北部の県単位の統計収量の時系列や地理的な特徴を良好に再現する事ができた.これらのことから,対象領域を広げる際には,作物生産において対象領域内のばらつきを生んでいる要因を把握し,圃場のモニタリングを通じて得られた知見に組み合わせることが必要であると考えられる.
  • 早川 敦
    2012 年 122 巻 p. 51-58
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    流域の窒素収支研究は,陸域で生じた純窒素投入量(NNI)の主要な輸送経路が河川であり,その割合は NNI の 25 % 程度であることを定量的に明らかにしてきた.NNI の河川窒素流出以外の行方(脱窒なのか貯留なのか)については,現在も定量的にはほとんどわかっていないが,窒素収支法,河川水質および脱窒能の空間的な把握,そして水文解析を組み合わせることで,河畔林や湿地の脱窒が河川の窒素流出におよぼす影響が少しずつ理解されてきた.人間活動による流域の窒素の動態とパターンの変化を捉えるために,様々な手法を駆使した戦略的なモニタリングを実施してデータを蓄積し,広域のモデルへ反映されることが望まれる.
  • 宮﨑 毅
    2012 年 122 巻 p. 59-69
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
    100 年以上前に Buckingham が発表した論文「Studies on the movement of soil moisture」を古典として読み解いた.この論文は,不飽和土壌水分のポテンシャルについて世界で初めて定義し,またその移動法則を提示した画期的なものであったが,所属していた研究機関の上司らの理解を得ることに多くの労力を費やすことになった.そこで,この論文発表をめぐる Buckingham の個人的かつ歴史的事情についても,資料に基づいて解説した.なお,論文本体において,当時の用語と現代の使用用語との間に違いがあるので,極力現代用語を用いて記述した.原著論文は非常に科学的で示唆に富み,特に理論的考察は味わい深いものであり,この分野に携わる研究者や若手研究者,大学院生にも,ぜひ読んでもらいたい.土壌物理学会事務局経由でも,原著論文のコピー(pdf)が入手可能と聞いている.
  • 鈴木 克拓
    2012 年 122 巻 p. 71-72
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 晋生
    2012 年 122 巻 p. 75-
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/08/23
    ジャーナル フリー
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