土壌の物理性
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バイオチャーを混入した土壌の熱伝導率
亀山 幸司宮本 輝仁塩野 隆弘
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2013 年 123 巻 p. 81-88

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抄録

本研究では,さとうきび由来のバイオチャーの島尻マージおよび豊浦砂への混入が土壌の熱伝導率に与える影響について検討した.バイオチャー混入土壌と無混入土壌を準備し,それぞれを加水調整しながら,体積含水率と熱伝導率の関係を測定したところ,土壌に関わらず,バイオチャーの混入により熱伝導率が低下する結果となった.各土壌ともに,バイオチャーの混入により de Vries で推定される固相の熱伝導率は低下し,固相率は減少(間隙率は増加)した.de Vries モデルを用いた試算結果により,島尻マージにおける土壌の熱伝導率の低下に対しては,固相率の減少(間隙率の増加)が一定に寄与しており,体積含水率が多くなるにつれて固相の熱伝導率の低下の寄与が増加することが推察された.また,豊浦砂における土壌の熱伝導率の低下に対しては,固相率の減少(間隙率の増加)の寄与が大きいと推察された.これらの結果から,バイオチャー混入による土壌の熱伝導率の低下に対しては,固相率(間隙率)変化と固相の熱伝導率変化が寄与しており,その寄与度は土壌の固相の熱伝導率,固相率,間隙率の変化の大きさによって異なることが示唆された.

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© 2013 土壌物理学会
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