抄録
湛水下の水田土では,光合成細菌群による窒素固定が行われていることが知られている.しかし,その深さやどの程度の量の窒素固定が行われているかは明らかにされていない.この報文では,水田表層土における太陽光の到達深さを明らかにするとともに,露光区と暗黒区を設置し湛水土の表層を薄層に分けて一定期間後の全窒素量の分布を調べた.この結果,光の到達深さは約 1 mm であり,露光した湛水下の水田土でのみ 0 ∼ 2 mm の深さの全窒素量が増加した.このことから,露光した湛水水田表層では,光がごく表層に限定して到達し,全窒素量はこの光到達深さを含む層内(0 ∼ 2 mm)で増大していることを明らかにした.