抄録
近年,我が国の水稲栽培においては,大区画圃場整備や機械の大型化が進んでいる.また,主食用米の他,多収を目指す飼料用米など多様な水稲栽培が展開されている.一方,夏期の気温が上昇傾向にあり,品質への影響が大きい.本報告では,耕起方法の改善や地下灌漑システム(FOEAS)により,根圏環境が良好になるため,高温下において品質の低下が軽減されることを示した.また,土壌の養分収支を明らかにした.ケイ酸収支は,すべての栽培においてもマイナスであった.ケイ酸は高温下において品質向上に有効であった.次に,多収栽培における稲わらの腐熟促進方策を示した.最後に,土づくりは,単に土壌改良資材や土づくり肥料の施用に限定されたものではなく,根圏環境改善を目的とした機械作業も含む総合管理であることを提案した.