土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土壌生産力の支配因子を求めて
水野 直治
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2019 年 141 巻 p. 33-39

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抄録
これまで土壌の生産力制限因子を追求してきてつぎのことが明らかになってきた.1)ニッケル過剰ではニッケルに対して鉄が 10 倍以下になるとニッケルの過剰が現れ,コムギの銅欠乏では銅が鉄の 0.8% 以下になると欠乏が発現する.2) 有害または有効の成分は土壌に存在する全元素含有率でなく,溶け出すイオン濃度で決まる.害作用はその平均元素濃度の 5 ∼10 倍以上で発現し,欠乏は反対に平均値の 1/5 ∼ 1/10 以下で発生する.3) 土壌成分の溶解度は全含有率の大小の他に,土壌の pH と酸化還元電位,粘土鉱物の種類および有機物含有率で変化する. 4) アルミニウムイオンは作物の抑制にも土壌病害菌の抑制にも働く.
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© 2019 土壌物理学会
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