抄録
近年,測位用に地球を周回する全球測位衛星システム(GNSS)の衛星信号を利用して,土壌水分を含む環境要素をモニタリングするGNSS 反射法(GNSS-R)が注目されている.GNSS-R はGNSS 衛星群が照射する衛星信号(電磁波)のうち,地上· 海上での反射波を解析· 利用することで,反射面における水分· 植生· 水位· 積雪深等の環境要素を推定する手法である.本稿では,このGNSS-R 全般の様々な形態や解析手法,特徴等を紹介した上で,その一形態として近年特に研究の進捗が著しいGNSS 干渉反射法(GNSS-IR)と,これを用いた土壌水分の推定に焦点を当てる.GNSS-IR は信号対雑音比を解析パラメータとする手法であり,通常の定点測位に用いられるGNSS 基地局に適用できる点で拡張性に優れている.本稿では,GNSS-IR の概要と特徴,測定の時間· 空間分解能,解析手法とソフトウェア,土壌水分の推定精度について紹介し,今後の課題と展望について論説する.