社会福祉学
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論文
東日本大震災による死別体験者が苦しみの中で求めるもの―スピリチュアリティの視点からの考察―
安井 優子
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2018 年 59 巻 3 号 p. 55-68

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抄録

本稿の目的は,東日本大震災・津波で愛する人を喪った人が,その苦しみを抱えながら生きてきた5年間のプロセスの中で求めてきたものは何かを明らかにすることである.臨床宗教師による活動「カフェ・デ・モンク」に参加したことがある家族を喪った被災者2名へのインタビュー調査,フィールドノーツをデータとし,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を実施した.その結果,被災者が求めてきたものは[苦しみに対し自分なりに意味を見出すこと]であり,それには【人との温かい交流】【宗教性の提示への希求】【自己と向き合うこと】が鍵となること,またその苦しみとはスピリチュアルペインであることが明らかとなった.臨床宗教師の活動は,宗教者としてと同時にスピリチュアルペインに配慮した関わりであり,今後は限界状況にある人へのソーシャルワークにおいても「スピリチュアリティに配慮したソーシャルワーク」が必要である.

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© 2018 一般社団法人 日本社会福祉学会
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