抄録
糖尿病患者の四肢, 特に足部においては, 神経障害および血流障害などにより壊疽, 潰瘍を合併し, それに随伴する足部感染症から下肢切断にいたる頻度が高い。
近年, 糖尿病の内科的治療が進歩し生命的予後が改善される一方, 糖尿病足病変が大きな問題となっている。 わが国でも糖尿病性壊疽は近年増加しており, 今後もその傾向が持続することが予想される。 またこのような患者はしばしば虚血性心疾患や脳血管障害などの全身的合併症を有しており, 多くの症例で生命予後が不良である。
今回, 糖尿病の合併症としての足病変と, その外科治療法である足部 ・ 下肢切断術の選択とその問題点を解説する。 またこの領域に形成外科医が関与する意義を踏まえ, 今後の展望を述べる。