抄録
本研究では、自動車運転の代替となりえるような、定額制で呼び出しから乗車までの待ち時間が平均で 10~30 分程度の高利便性の乗合タクシーに均衡分析手法を適用することで、料金や台数などを変数として収益を最大化する手法を提案する。均衡分析では、待ち時間の増減と利用者増減のフィードバック関係を対象に、運行シミュレーションから導かれるパフォーマンス関数と需要関数を組み合わせ、均衡利用者数を求める枠組みを乗合タクシーに適用する。さらに、均衡利用者数が料金の関数となることを利用して、利益を最大化する料金と台数を導出する最適化手法の枠組みも定式化している。また、具体的な住宅地域を対象にして、利用意向調査から推定した需要モデルと、独自に構築した運行シミュレーションを用いて、均衡値および最適値の計算例を示している。