2025 年 11 巻 2 号 p. A_213-A_219
信号交差点における重大事故の最も一般的なパターンの一つは,自転車と左折車両の衝突である.本研究の目的は,自転車の通行の安全性を高める交差点角部の設計に関する基礎的な知見を得ることである.そのため,多様な自転車の通行状況にある4つの信号機のある交差点における複数の自転車と左折車両の特性を分析した.交差点においてビデオ撮影を行い,深層学習手法により物体検知とトラッキングを行い,走行軌跡データを分析した.その結果,交差点形状の違いにより,交差点に進入する左折車両と自転車の走行軌跡が異なることが明らかになった.さらに,これらの違いは左折車両の速度と旋回距離に大きく関係しており,安全指標である衝突余裕時間にも影響することが分かった.