2025 年 11 巻 2 号 p. B_39-B_44
本研究では,自転車通学で日々生活道路を利用している中学生が抽出したヒヤリハット箇所に対して,交通状況,道路構造,道路環境を分析し,また,自転車利用者および地域住民を対象に実施したアンケート調査をもとに,危険箇所に対する安全対策の有効性を定量的に評価し,危険度に応じた有効かつ住民に受け入れやすい対策を検証した.アンケート調査結果からは,生活道路において交通量の多い抜け道が危険要因として特に意識されていることが明らかとなった.さらにヒヤリハット箇所の有無と道路条件から構築した危険事象発生箇所モデルでは,交差点において主方向自動車平均速度を 2 割低下させることでヒヤリハット発生確率の低下が確認された一方,それ以上速度を低下させてもヒヤリハット発生確率の減少効果が期待できないことも明らかとなった.