抄録
欧州諸国では,道路整備において,Shared Space という新しい歩車共存空間の概念が取り入れられ,道路空間デザインの工夫により,安全性や魅力向上に一定の成果を上げている.国内においても,出雲市や京都市において Shared Space の考え方に基づく社会実験や道路空間整備がなされ,欧州諸国と同様の成果が報告されている.そこで,本研究では,国内における Shared Space の有効性をさらに多面的に確認する事を目的として,歩行者やドライバーを対象とした意識調査を行った.その結果,Shared Space 的な道路空間は,道路空間上の会釈やアイコンタクトといったコミュニケーションを誘発するとともに,車両の減速や停止といった協調行動を誘発し,道路空間の魅力を向上させる傾向が高い可能性が実証的に示された.