わが国において慣習化している歩道上の自転車の双方向通行について,ドライバーにとって双方向から現れる自転車への注視不足が危険要因となる実態が指摘されている.本研究では,歩道上の双方向通行の危険度についてヒヤリハットの錯綜評価により明らかにすることを目的として,ドライブレコーダデータを用いて急減速発生に至るまでの挙動解析による考察を行った.まず,自転車の挙動に着目したマクロ分析では,自転車の詳細な通行位置による発生状況の違いのほか、通行方向によりヒヤリハット類型の特徴が異なる傾向がみられた.さらに,幹線道路同士の信号交差点で発生する左折時のヒヤリハットについて検討したところ,歩道を逆走して横断する自転車は順走に比べてより自車付近での錯綜が生じており危険度が高いこと等が明らかとなった.