抄録
近年,自転車シェアリング (BSS) の導入が世界的に進んでおり,中でも中国での発展が顕著である.本研究では,中国において 2016 年までに BSS を導入した全 246 都市を対象に,2 種類の BSS (ポート有り・ポート無し)について,①公共交通としての位置づけ,②ポート間の相互利用可能性,③高い利便性, ④通信情報技術の活用,⑤多様なビジネスモデルの 5 つの持続可能特性から文献調査を行った.主な結果は以下の 3 つである.1) ポート有り BSS は最初に狭い範囲に導入し,その後にポートを広域に拡大し,複数回の拡大でポート密度を向上させる.2) このような拡大方法の実施には,自治体の資金投資と政策の支持が不可欠である.3) 住民の環境意識の変化等の要因でポート無し BSS の利用者が急増し,それに伴う安定なビジネスモデルの構築と運営管理能力の向上が求められている.