2019 年 5 巻 2 号 p. A_11-A_19
高知市は南海トラフ地震による市内中心部の長期浸水が懸念されている.多くの要医療支援者が浸水域内にとどまることが想定され,患者らを浸水域外へ搬送するための計画が検討されているが,現在は必要ボート数の算出にとどまっている. 本研究では,発災時に長期浸水域に残された要医療支援者をボートで搬送するための計画モデルを提案する.このモデルは,要医療支援者数とボート進出拠点までの距離という制約条件の下で,アクセシビリティが最大となる組み合わせを導くことで,最適なボート配置を提示するものである. 高知市にモデルを適用した結果,制約条件が弱い場面で,より多くの進出拠点にボートが配分されることがわかった.さらに,配置計画毎に救出シミュレーションを行うことで,救出に必要な時間やクリティカルな場所を特定することができた.