2019 年 5 巻 2 号 p. A_27-A_32
本研究では、地域公共交通確保策の一つの方策として、利用の少ないコミュニティバスを乗合タクシーではなく、乗用タクシーによって代替し得るかどうかについて検討する。はじめに、乗用タクシーを活用した公共交通施策の意義を、市町村、タクシー事業者、タクシー運転手の側面から論じ、さらに、愛知県豊田市において運行経費に関する試算を行う。その結果、1) 移動の需要密度が低い状況では、乗用タクシーを地域公共交通として活用することが期待できること、2) 経費シミュレーションの結果、運行経費が 2~7 割削減できることが示唆されたこと、3) 距離制運賃で運行する乗用タクシーへの代替が適した地域特性として、迂回率の大きい非効率なバス路線となる地域が適していること、がそれぞれ示される。