鉄道駅周辺の道路網は駅自体の利便性などの特徴に大きく関係することが予想できる.しかし,道路網の評価をする際,駅など特定の都市施設周辺に焦点を当て,各道路の実延長や偏角などから分析と類型化を行う研究はほとんど存在しない.そこで本研究では,角度データを扱う方向統計学を用いて駅周辺道路網を評価する新たな手法を構築した.まず,駅周辺の各道路の偏角に着目したグラフ(バラ図)を作成した.次に,偏角の確率分布(円周分布)のパラメータを推定し,道路網を評価する指標を考案した.この指標を用いて東急東横線の各駅を分類し,既存の指標との違いを示した.偏角の四方向への集中度を表現できるという提案手法の一定程度の有用性を示すとともに,今後の展望を整理した.