2020 年 6 巻 2 号 p. A_280-A_285
廃止バス路線の代替交通手段としてだけでなく,高齢化の進展に伴うドア・ツー・ドア輸送のニーズの高まりも相まって,近年タクシーの役割は増大している.一方,長時間低賃金の職種であるタクシードライバーの確保は難しく,地方都市の周辺地域ではタクシー営業所等の撤退が進みつつある.タクシー事業者を確保するためには,タクシードライバーの生産性の向上が急務である. 本研究ではまず,新潟県長岡市のタクシー事業者のGPS データを用いてタクシーの運行実態を可視化し,運行効率化に資するデータを取得する.次に,前日までにすべての予約がなされているという理想的な状況を時間制約付き集配計画問題(PDPTW)として定式化し,必要車両数と最適な巡回ルートを,ヒューリスティックな解法である挿入法を用いて導出し,運行効率化の可能性を検討した.