2020 年 6 巻 2 号 p. A_303-A_309
本研究では,高速道路連続走行時において,注意の解放が落下物の認知を向上させるとの仮説を措定し,室内実験を通じて同仮説を検証する.高速道路における運転は,進行方向前遠方の限られた範囲へ持続的に注意が向けられていると考えられ,落下物の認知にヴィジランス低下が影響を与える可能性が ある.ヴィジランス低下を軽減・抑制するためには,持続的な注意を解放させることが有効である.そこで本研究では,進行方向に向けられた注意の解放が落下物の認知に与える影響について,選択的順応パラダイムにもとづき検討した.その結果,注意の解放によりヴィジランス低下が軽減されること,ならびに同注意の解放効果は60 秒間持続することが示された.