2022 年 8 巻 2 号 p. A_240-A_248
本研究では、新型コロナウィルスによるバス利用者数の減少について、豊田市おいでんバスの IC カードデータを用いてその実態把握を行った。2020 年 4 月・5 月の急激に利用者が減少した時期と、2021 年 2 月・3 月の利用者数の回復をみせている時期において、停留所の人口特性、施設配置からその要因の検討を行った。この結果、2021 年 2 月・3 月においても休日のバス利用が少ないことや、長距離のバス利用が少ないことを示した。さらに、文化施設等へのバス移動も少ない可能性を示した。このことから必要不可欠な目的以外でのバス利用を控えていることが推測される。短期的には、近距離移動の需要に対応した計画が必要である。その一方で長期的には、街のにぎわいや個人の生活の質のために、新型コロナウィルス影響以前に利用者を回復させることも必要である。