2022 年 8 巻 2 号 p. A_249-A_256
本研究は,変動が大きく予測が難しいとされる観光交通渋滞を対象に,ETC2.0 プローブデータを用いて渋滞状況の短期的な予測手法を提案するものである。近年,我が国の観光需要は右肩上がりであるが,観光地周辺における交通渋滞が深刻化しており,観光交通の改善が望まれている。改善手段の1つとして渋滞予測情報の提供が注目されており,本研究では国道 1 号の箱根地区を対象に,状態空間モデルを用いて1 時間後の 500m 単位の旅行速度や区間全体の旅行時間を予測した。モデル化においては,様々な外生変数の組み合わせを検討した結果,休日フラグと観光需要の程度を間接的に表現する指標としてのツイート数を採用した。その結果,状態空間モデルは特に混雑時の速度低下を精度よく予測できることが明らかとなった。