2022 年 8 巻 2 号 p. B_33-B_42
本研究では、中山間地域において自動運転車両を活用した公共交通サービスを円滑に導入するための示唆を得るため、実証実験ルート沿線の地域住民の意識に着目して分析を行った。地域住民のみを対象とした、地域への導入賛否に対する影響要因の分析の結果、自動運転車両を用いた公共交通の利用意思や自動運転技術への信頼性が強い規定要因となっていた。また、実験中の自動運転車両の視認だけで自動運転技術への信頼性は向上せず、走行速度が遅いことなどを理由に自動運転車両を邪魔に感じた地域住民が一定程度存在していた。これらの分析より、地域全体の導入意識を高めるためには、幅広い地域住民の乗車機会を提供することや自動運転車両の走行特性について丁寧に理解を求めることが重要であることが示唆された。また、実証実験の事例を通じて、これらの方策の有効性を確認した。