オイルパームの果実を搾ったパーム油は、世界で最も多く生産されている植物油だ。パーム油や製造過程で廃棄される果実の殻などはバイオマス燃料として利用できる。しかし、パーム農園では寿命を迎えた古木の放置による害虫・病気の蔓延、土壌劣化、温室効果ガスの発生などが深刻な問題となりつつある。国際農林水産業研究センター生物資源・利用領域の小杉昭彦プロジェクトリーダーは、日本の企業の技術を結集した「下町バイオマス」で、マレーシア政府や農園とともにパーム油産業のあり方を見直し、環境と経済の両者が循環する持続可能な仕組みの構築を試みている。