相次ぐ気象災害の発生や世界情勢の変化が、食料安全保障の脅威となっている。加えて、世界人口の増加や農業就業者の高齢化と労働力の不足、需要と供給の偏在など、「食」をめぐる社会的課題は実に多様だ。筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センターの江面浩教授が率いるOPERA「食と先端技術共創コンソーシアム」では、これらの課題に産学の強力な連携で挑む。有用作物の育種をはじめ、栽培技術の開発から次世代産業の創出など、多彩なアプローチで取り組み、速やかな社会実装を実現する。
オイルパームの果実を搾ったパーム油は、世界で最も多く生産されている植物油だ。パーム油や製造過程で廃棄される果実の殻などはバイオマス燃料として利用できる。しかし、パーム農園では寿命を迎えた古木の放置による害虫・病気の蔓延、土壌劣化、温室効果ガスの発生などが深刻な問題となりつつある。国際農林水産業研究センター生物資源・利用領域の小杉昭彦プロジェクトリーダーは、日本の企業の技術を結集した「下町バイオマス」で、マレーシア政府や農園とともにパーム油産業のあり方を見直し、環境と経済の両者が循環する持続可能な仕組みの構築を試みている。
近年頻発する異常気象やそれらに伴う災害の一因と考えられている気候変動を抑えながら、社会の持続可能な発展を目指した取り組みが進んでいる。新連載「どうやって実現する?明るく豊かなゼロエミッション社会」では、若手商社員・皆川豊を主人公としたストーリー仕立てで、低炭素社会戦略センター(LCS)が発行する提案書を読み解きながら、さまざまな産業分野の最新動向を紹介する。第1回は低炭素社会戦略センターの小宮山宏センター長に、脱炭素から始まる日本の活性化への道筋を聞いた。
【研究成果】完全ヒト抗体産生マウスを作製 ヒトの多様性を再現、安全なバイオ医薬品創出に貢献
【研究成果】紙を段階的に炭化し、半導体開発 電気特性・3D構造をカスタマイズ可能
【研究成果】超強力な水中接着剤を開発 海洋生物の機構がヒント、手術用など期待
【研究成果】効率の高い磁気冷凍で水素を液化 水素エネルギー製造コスト削減、脱炭素社会に道