2010 年 32 巻 2 号 p. 146-150
【背景及び目的】くも膜下出血(SAH)後の遅発性脳血管攣縮(VS)治療に対して,エイコサペンタエン酸(EPA)の投与量を通常の1,800mgと4,400–5,700mgに増量した時で脳血管撮影上VSの有無と退院時modified Rankin Scale(mRS)について検討した.【方法】症例は,当院で急性期外科手術施行したSAH症例連続87症例であり,術後のVS予防に,EPA量を変化させて投与した.【結果】EPAを増量すると統計学的有意差をもって脳血管撮影上VSの発生率は低く,退院時mRSを0とそれ以外に分けても有意差をもってmRSが0の割合が高かった.【結論】EPAは破裂脳動脈瘤術後のVSに対して有効と思われ,その効果は用量依存性である可能性が示唆された.