脳卒中
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症例報告
Top of the basilar syndromeを来した遺残原始舌下動脈の1例
田中 弘二松本 省二小早川 優子田中 公裕川尻 真和山田 猛松本 俊一
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2010 年 32 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

遺残原始舌下動脈(persistent primitive hypoglossal artery:PPHA)を伴い,脳底動脈への心原性塞栓によりtop of the basilar syndromeを来した1例を報告した.症例は94歳,女性.意識障害のため最終未発症時刻から15時間後,当院へ救急搬送された.来院時,深昏睡で自発運動はなく,眼球は正中固定し対光反射は消失,NIHSSは40点と評価した.心電図モニターにて心房細動を認めた.頭部MRIにて両側視床,大脳脚を含む中脳に新鮮梗塞を認めた.MRAにて右内頸動脈より分岐するPPHAから起始する脳底動脈が末端で閉塞している所見を認めた.PPHAを伴う症例においては椎骨動脈,後交通動脈などの後方循環の発達が悪く,症状が重篤化しやすいと考えられる.

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© 2010 日本脳卒中学会
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